フルアドリブにも程がある!(3)

うわあ、書きたいことが雪ダルマ式に溜まっていくナリ……。(挨拶)
紫星#7とオゼロン#8の話も色々と書きたくてウズウズしてるんですが、オンセログをアップしないことには始まらないし。


さてさて。
このシリーズ(?)、表題だけ見れば「アドリブで無茶しすぎて破綻した失敗談」みたいに見えますが、実際は違います。2つの意味で。


端的に言えば、
「アドリブ全開でセッションを回すことは十分可能」
「ただし、ゼロから全てを生み出すよりは、押さえるべきポイントを事前に確認しておいた方が大きな効果をもたらす」
……この2点に要約されます。


GM/PL全員が半ばトランス状態でアドリブ劇中劇を展開した紫星#7といい、PL全員がGM化したオゼロン#5といい、実は「シナリオのキーポイント」や「PLに意識して演じてほしい要素」は、今回予告以外にもGMが念入りに事前説明していたんですよね。
アクロバティックなセッションであればあるほど、開始前にある程度の共通認識を組み立てておいたほうがいい。逆に言うと、全PLが「そのセッションの意義や目的」をキッチリ把握してさえいれば、どんなにアドリブを連発してもセッションは面白おかしく回るのではないか?と思います。


いつも言ってることだけど、所謂「ぶっちゃけ」や「ストーリーラインの事前提示」は決してPLを縛りつけ自由度を奪うものではないと思います。むしろ「何をしてもいいけれど、何をすればいいのかアヤフヤ」という状態よりは断然自由なんじゃないでしょうか。

アリアンロッド「#オゼロンの魔術師」第8話「会議は踊る」、無事終了。

前回のセッションでヴァンスター帝国に奪われかけ、色々あって”遺跡の街”ラインのすぐそばに不時着した空中庭園テニア。その扱いを巡り、PCがテニア代表としてパリス同盟の会議に出席することに!……というシナリオ。
これからテニアを離れて旅立つための下準備、会議と休日モードが中心というインターミッション的セッションでしたが、普段の冒険・戦闘系セッションと同じかそれ以上に盛り上がりました。
「テレーザの酒場でエレウォンド王&ランディアと会食」「会議前夜の晩餐会でミューズやウェルチとお近づきに」「帝国への対応を巡って紛糾する同盟会議!」といった具合に、公式NPCや世界情勢がストーリーと絡んできて胸が躍りました。ラインの街でラーエルお姉ちゃん&ナイアのデートも堪能できたし♪(笑)

『物語生成ツール』として見たTRPGの自由度は?(2)

前回の続きというか、補足というか。
こないだの記事は携帯から書き殴ったためか、文章粗いですねー。ただ、あの文章の全部がリンク先への「反論」というわけではなく、そこから触発されて考えたTRPGのノウハウ論も含んでる……ということで。紛らわしくてゴメンなさい。


さてさて。
小説ジャンルや文芸評論の側から出てきた「TRPG=自由に物語を作れるツール」という謳い文句が、多分に理想や幻想を含んでいるのは確かだと思います。ていうか(特に、小説とTRPGの両方を出していた角川・富士見系に顕著ですが)、おそらく「自由」というのは「”読者”という受け身の立場から一歩踏み込んで”物語の当事者・主役”という立場に身を置き、ストーリーに介入したり改変できる」という程度の軽いニュアンスじゃないかと。
で、実際に遊んでみると参加者間で「自由」の定義にズレが生じて、評論家が言うほど無制限に物語を編み出せるわけではない。たしかに、幻想論は話半分に捉えたほうが無難ですね。
もうちょい付け加えるなら、個人創作と比べた場合のTRPGは「他の参加者が出した設定やアイデアを取り込み、相乗効果的に膨らませることができる」という積極的なメリットと、「個人で全ての設定や展開・台詞を考えなくても一応ストーリーを完結させることができる」という代替物的な消極的メリットを、共に内包していると思います。後者的な「お手軽さ」だけを求めて身勝手に動く参加者(PL/GM問わず)は、そりゃまあ嫌われても仕方ないわけで。


で……前回言いたかったのは、具体的な物語生成ルールに踏み込んだ後の段階において「各個のシステム/ルールギミック/レギュレーション/シナリオは、ただ単に参加者を縛りつけて自由を奪うだけにすぎないのか?」ということ。
ストーリーの方向性を明示し、絞り込むことは、「そのセッションにおいて何を考えればいいのか」を浮き彫りにし、参加者の発想をブーストします。セッション開始前の様々な取り決めや約束事を設定するのも、ストーリーを「自由に」編んでいく過程の一つであり、プレイヤー側からも選択・改変できる要素なのだから、一方的な制約とは言えないのではないか?と言いたかったワケです。
システムを選ぶのも、極端な話「そのGMが運営する卓に参加する」という選択自体も、その時点である程度の方向性提示に合意したと見なせるわけで。
ただ、多くの場合、参加者は細かい「物語生成ルール」を全て決めるわけではありません。経験則や暗黙の了解で何となく理解した気になり、自覚・意識していなかった要素が実プレイ中に表出して揉めたりすることは多々あるようです。だから、(参加者個々の癖や嗜好・志向は経験的に暗黙の了解として取り入れるとしても)、ストーリー構築上どうしても必要な部分をGMが事前に決めて周知したり、PLがレギュレーションやシナリオに希望を出したりするのは、無粋でも何でもないと思うんですけどねえ。
たとえば……GMからの押し付けと見なされがちな予告やハンドアウトにしたって、うちの鳥取ではPLの要望を聞き入れてそれ自体を変更・微調整したり*1、「ハンドアウトに合わせて出来上がったPCの個性や設定」がフィードバックしてシナリオ本編を大きく改変したり。*2


結局のところ、いつも繰り返しているように。「ツールやルールに使われ・振り回されるよりも、それらを快適に使いこなしていけば、ストーリー生成の「自由度」はより高まるんじゃないかなあ?」という趣旨の話でしたとさ。

*1:分かりやすい例だと、「ホールデンの指輪」でPCの年齢に合わせて”過去に起こった悲劇”の年代を調整したり。

*2:またもや手前味噌ですが「アスフォデルの巫女」A/Bが好例。同一のシナリオとハンドアウトを用いていながら、各卓のPCの設定/性格によって全く雰囲気の違うストーリーが成立しています。

『物語生成ツール』として見たTRPGの自由度は?

「ハー○イ○ニー観察日記」さんの記事に興味を持ったので、ちょこっと言及してみます。
http://d.hatena.ne.jp/tdaidouji/20060425#p1


たしかに最近の物語志向的TRPGシステムには「物語生成の為のルール」が定められることが多いので、何の制約もなく自由に話を作れるわけではないことは確か。特に「ジャンルの飛躍によるサプライズ」*1なんか、ゲーム的なストーリー制御を可能にするべくルールに盛り込まれた時点でサプライズでも何でもなくなっちゃいますしね。*2
ただ、様々なルールがあるからTRPGが不自由なのか?といえば、決してそんなことはないと思います。場に集まったプレイヤーに対して一定のルールとストーリーの方向性を提示し、最低限の共通認識を取りつけることによって、その枠の中では各参加者の自由意志を反映し、様々なバリエーションを楽しむことが可能。ルールや取り決めは、あくまでストーリーの強度や精度を保ちつつ、プレイヤーの介入や操作を容易にするために存在するというわけです。小説でも、破綻しないようにテーマやジャンルを絞ったから自由な発想が妨げられるというわけじゃないですし。
また、同じルールシステムや特定のプレイグループ内では同じような志向性のストーリーしか作れないのか?というのも、当然ながらNOです。なぜなら、シナリオ(エピソード)・キャンペーン・卓・鳥取*3といった構成単位ごとに毎回別々のストーリー生成ルールを決め直せばよいだけのことだからです。具体的にはシナリオ予告による方向性提示、ハンドアウトによるキャラクターの立ち位置決定、シナリオorシーンごとの特殊ルール提示など。これはGMから一方的に押し付けられるわけではなく、その気になればPL側からも提案・変更要求できるのがミソ。


ちなみに、純ファンタジーな舞台設定と小道具だけでもメタフィクションネタが再現できることは、こないだ体験しました♪

*1:学園ラブコメだと思ったらSFだった某世界を大いに盛り上げる団の話、ミステリだと思ったら異能者バトルだった某新青春エンタetc.

*2:……いや、例外的にガープス・タカヤ』なんてのはサプライズアタック可能かもしれませんが。「マーシャルアーツ」準拠の現代学園格闘キャンペーンを続けていて、ある日突然GM「今日からファンタジーのサプリを投入します。今までの技能は全て無効なのでヨロシク♪」なんて言われたらどうするよ?

*3:特定地域や友人グループの集まりを指す

フルアドリブにも程がある!(2)

とりあえず、寝る前にシナリオ運用面から一つ。


今回、セッション時間短縮のために「PCが劇団と出逢って旅を共にすることになるまでの経緯」や「主演の役者たちが負傷し、PCが代役を務めることになるまでの流れ」といった前置き部分をPLにはメールだけで事前説明し、セッション内ではバッサリ省略するという暴挙に出ました*1。これを抵抗無く受け入れてもらえて、ものすごく助かりました。
結局、セッション本編は「開演直前の舞台袖」から始まって、「終幕直後」でほぼ完結する……という、かなりスリムでスピーディーな結果に。*2
卓の同意が得られるなら、削れる部分は徹底的に削ってしまうのも一手だなあと改めて思いましたヨ。

*1:なにしろ、座長や本来の花形役者たちは一瞬たりとも登場しない上、名前すら決まってなかった!

*2:それでも9時間かかったけど、うちの鳥取では比較的短い方デス(笑)。

フルアドリブにも程がある!(1)

アリアンロッドRPG「#紫色の星々」第7回セッション「Fact or Fiction」、ついさっき無事に終わりました。
かいつまんで言うと「怪我した劇団員の代役として、PCが劇中劇を演じる」というシナリオだったんですが……、まるでイタコを降ろしたように愉快なセッションでした。
今回予告とかシナリオギミックとか顛末とか、話したいコトは山ほどあるので、また後ほど。