「小説的な物語創造ゲーム」としてのTRPGとオンラインセッションの親和性。

久々にオススメ記事紹介です〜♪


TRPGは「小説的な」ゲームである (from「安藤昌季のTRPGコラム」さん)


激しく同意。全文引用するのもおこがましいので、ぜひリンク先を読んでみて下さい(他の記事も示唆に富んだものばかりです)。


……さて。
オンセは従来のオフラインセッションよりも更に「小説的・文学的なゲーム」としての傾向が強いと思います。キーボード入力を通じて「書く」という意識が生じ、また同時に他の参加者の発言を「読む」ことでゲームが進むために、小説的なテクニックを盛り込みやすいんですね。
たとえば感情表現。オフセは発言者が口調や表情を通じて感情をダイレクトに伝えるのに適していますが、オンセは「本心と裏腹な発言」や「複雑な葛藤を交えながらの心理描写」など、比較的ややこしい感情を表現するのに向いています。オフでも出来ないわけではありませんが、どちらかといえば演劇的な才能も必要になってくるので難しいところ。
また、オンセではPLも自分のPCを客観的に描写したり、風景や天候変化などを交えて演出を行うことが多いようです(ベタなシチュエーションですが、「悲劇的なシーンで雨を降らせる」「万事めでたく解決したエンディングシーンで朝日が昇る」など)。これはGMなら当たり前に使うテクニックですが、旧来のオフセではPLからは出てきにくい発想でした*1
ノローグやナレーションを「キャラクター発言」と区別しやすいため、PC自身の台詞として表現しにくい事柄をメタ情報として公開し、他のPCと絡みやすくする……といった技も使えます。PCの仕草や表情などを客観的に描写するのと併せて、口数の少ないキャラを演じるのに有効。
もう一つ。ログの記録性と再読性のおかげで、オンセでは「起承転結の組み立て」や「物語の意味づけ・テーマの上乗せ」が仕掛けやすくなっています。周りが伏線を見落としたり忘れたりしてもログの当該箇所を読んでもらえば済むことですし、逆に(休憩時間や発言の合間などに)ログを辿って新たな演出の糸口を見つけ、話を膨らませることもできますね。


なりきりチャット」的なセッションから一歩踏み出し、自分のキャラや物語全体を俯瞰的に捉えれば、PLもGM的な視点から物語を演出することが可能になります。そうしたセッションを行ううえで、オンセ環境は非常に恵まれていると思います。もちろんオンにもオフにも一長一短はありますが、「小説的な物語創造ゲーム」をやるならオンセの方がオススメということで。
本気で取り組めば1セッション10時間12時間が当たり前に……という難点はありますが、協力してストーリーを織り上げる楽しさを知ればやみつきになることも確か。時間と気力があれば、一度は挑戦してみてはいかがでしょうか?


※参考リンク:「月刊TRPG.NET」のオンセ特集(古い記事ですみません)


月刊TRPG.NET:2004年10月号:オンラインセッション特集
月刊TRPG.NET:2003年10月号:オンラインセッション特集

*1:ちなみに最近の自分はオンセばかり遊んでいるので、もしかしたらオフでもとっくに確立された技法なのかもしれません。認識違いだったらゴメンなさい