「本人不在の会話進行テクニック」(2)

昨日のエントリ「『ネギま!』121時間目に見る「本人不在の会話進行テクニック」について、軽い補足を。


「登場」の概念を含めてシーン制セッションを行う場合、「無意味・無目的にシーンへ登場するのは控えよう」というのが常識的です。ただ、これは必ずしも「登場したら積極的に発言・行動するべき」とは限らないんじゃないかな?と。
あえて聞き役やフォロー役を演じたり、リアクションに徹することで、能動的に動くよりも大きな効果を引き出せる場合もあります。その場にいるだけでロールプレイの触媒となるPCもいるでしょう。特に自分がシーンプレイヤーでない場合、「会話に割り込む」「実力行使」以外の動き方は工夫の余地が大きいと思います。


また、PC同士の人間関係を重視するセッションの場合、「話題の中心となるPCがその場にいない」方が話を進めやすい場合もあります。もしも千雨と茶々丸の会話にネギ自身が口を挟んでいたら、会話のテンポや掘り下げ方が損なわれ、二人が劇的な心理的接近を果たすこともなかったのではないかと思います。*1
このような進行テクニックは小説や映画でも一般的ですが、「作者」が全ての登場人物をコントロールしていなければ不可能というわけではありません。TRPGプレイヤーも、シーンの意図や会話の流れを読めば個人レベルから誘導できるんですよね。「影のシーンプレイヤー」を見事に演じきったネギの中の人、グッジョブ!!*2


※もちろん「地蔵プレイ」を奨めてるわけじゃありません。「シーンを盛り上げる方法は正面突破の正攻法以外にも色々あるよ」という意味なので、誤解なきよう。


ちなみに今回挙げた例は、それ自体をセッションの中核テーマとして扱うようなものではありません(「最初からPCの不在を前提としたシナリオ」は、演じる上でPLへの負荷が高いため。「Million Maker」のように最初から「PLが演じるべき特定のPC」が存在しないメタフィクション志向のシステムなら話は別ですが、かなり特殊な部類であることは間違いありません)
どちらかといえば、「PCが怪我や病気に倒れ、寝込んでいるシーン」等、シナリオ途中のピンポイントな状況で使えるかもしれない小技として捉えてもらえれば。うちの記事で漫画やアニメのシチュエーションをTRPGに喩えて話す場合は、基本的にそういった「限定状況で使えるテクニック」の引出しを増やそうという意図で書いてますので、そこんとこよろしく。

*1:ちなみに今回のエピソードは読者向けの状況整理としても秀逸です。『ネギま!』未読の人でも会話の流れを把握できると思うので、騙されたと思って読んでみて下さい

*2:もちろん実際にプレイヤーが存在するわけじゃありません。121時間目を架空のTRPGセッションと見なした場合の話。