なぜセッション時間は伸びるのか?

時間リソースについての話に興味を覚えたので、セッションが長引く要因と対処法を思いつくままに書き連ねてみます。次のエントリ「セッションを予定時間内に終わらせるには?」も併せて御覧下さい。
なお、一般的なTRPG系書籍やWebサイトなどで既に述べられているケースについては適当に端折ります。『アリアンロッドRPG』上級ルールやリプレイEXに掲載されているプレイヤーガイドは、ぜひ読んでみて下さい。

  • 掛け合いやPL発案によるシーン演出が盛り上がり、予定よりも長引く

あえて最初に。これは歓迎すべき事態であり、無碍に切り捨てるのはTRPGの楽しみ自体を否定する行動でもあります。
TRPGに限らず、飲み会でも電話でも会話が盛り上がれば予定時間をオーバーするのは日常茶飯事。実も蓋も無い言い方をしてしまえば「ポジティブな意味でも、セッションは伸びて当然」だったりします。少なくとも、予定時間内に終わることを最優先するあまりにGMやPLが本来やりたかったことを切り捨ててしまうのは本末転倒だと言えるでしょう*1

だからこそ、ネガティブな面で時間が浪費されるのを最小限に抑え、盛り上がる部分に惜しみなく時間を投入できるようにしておく必要があるわけです。

  • 参加者が時間通りに揃わない

事前にメンバーが確定している場合は「論外」なので割愛(不可抗力による遅刻・欠席を除く)。
メン簿スレ等では、飛び入り参加待ちで開始時刻がズレることもありますね。この場合、あらかじめセッション時間への皺寄せを見込んでおくべき。

  • 参加者がルールを把握していない

初心者向けを想定したセッションでは「ルールを教える時間」も考慮したうえで、できるだけ単純なシナリオにした方が良いでしょう。
固定メンバーの場合、何度やってもルールを覚えてくれない人は、やる気を疑われても仕方ありません。ルルブやサマリーに目を通して、基本的な判定・戦闘ルールと自分のキャラのデータや動かし方くらいは確認しておきましょう。

  • システムの穴を突いた裏技やマンチ技でルール論議になり、進行が止まる

戦闘バランスが厳しい卓では必要悪だったりもするので、「そこまでしないと生き残れないような環境になっていないか?」とGMが自省する必要もあるでしょう。
単にPL自身が奇策を好んだり重箱の隅をつつきたがる性癖の持ち主である場合、あまりにも頻繁に同じPLがゲーム進行を止めるようならば自粛を求めたり卓から外れてもらうようにした方がいいかもしれません。

  • セッション本編とは無関係な雑談に興じる

PL同士の親睦を深める潤滑油になる場合もあるので、まあ程々に。

  • キャラメイクやプリプレイに手間取る

できうるなら準備は別の日に済ませてしまい、セッション時間を圧迫しないようにしたいものです。メールや掲示板を利用するのもオススメ。
突発セッションなどの場合、クイックスタート(サンプルキャラやGMが作成したプレロールドPC)を採用するのも一手ですね。

  • シナリオの背景説明やPCの立ち位置を決めるのに手間取る

今回予告やハンドアウトを活用しましょう。

  • オフセと同じ感覚でオンセの所要時間を見積もっている

オンセ経験の浅いGMが陥りがちなミス。逆に言えば、何度かセッションをこなすことで自動的に解決できる問題でもあります。オフセと同じボリュームのシナリオをオンセで終えるには、2〜3倍の時間がかかると考えて良いでしょう。
他人の発言や判定を待っているあいだに時間が経過する場合も多いので、「ある程度は発言が被ってもOK,文脈が合わない場合は発言を取り消してもOK」「命中/回避判定は同時に振って、相手の数字を見て振り直すかどうか決めてもOK」といった風にハウスルールを導入して処理を早める手もあります。

  • GMが軽く流そうとした場面でPCが盛り上がる、予想外に細かい行動を取る
  • PC・PL間で意見の対立が生じ、調停に手間取る
  • PCの分散・単独行動

シーフやバードが情報収集の場面で熱演し、会話が長引く場合など。「キャラ立ての為に必要」と考えるPLも多いので、心情的に省略しづらい部分でもあります。
この辺はGMの経験とテクニックに左右されますが、もしも抵抗がなければ「あらかじめシーンやフェイズの数を教えてペース配分を意識してもらう」「ある程度時間が進むごとに、GMから見たシナリオの進行度を提示する」のも有効です。
「終了予定時刻の2時間前にはクライマックスフェイズに入れるように進めてね」「単独行動は1人あたり15〜20分以内で切り上げるよ?」みたいな指針を設けておくと無難*2

  • PLが予想外に慎重な行動を取る

トラップ絡みの戦闘や情報戦などで頻出するケースです。
人によってはリソースの消耗やリスクを極力減らそうと考えるあまり、非常に消極的だったり時間のかかる行動を取ったりする場合があります。下手をすれば、シナリオクリアに必須な行動さえ敬遠・回避されてしまうかもしれません。
自分の場合はPCが大胆かつヒロイックに動いてくれることを好むので、「戦闘にはトラップをほとんど併用しない(俗に揶揄される「平原殴り合い」がほとんど)」「PCの行動は好意的に解釈し、積極的に採用するというマスタリング姿勢を打ち出す(こうすることでPL側も小細工抜きに動いてくれることが多い)」といった傾向がありますが、当然「それじゃヌルい」という人もいるでしょう。
その場合は、「リスキーで慎重さが求められる場面は必然的に時間を食う」ことを念頭に置いたうえで、シーンやイベントの総数を少なめに設定すればよいと思います。

  • GMの準備したヒントや解決策にPLが気付かず、進行が停滞/迷走する

迷わせることもTRPGの楽しみではありますが、あまりに進まないようなら適度にヒントを追加したり強制的に場を動かすと良いですね。ただし、GMの考えている「正解」そのものがPLにとって理不尽である可能性もあることに注意!
PLの行動が理に叶っていれば、それを「正解」として認めるのが良いでしょう。そこまで譲る気がない場合は、「最短時間での解決は期待せず、多めに時間を見積もる」ことです。

  • 「PCがどんな行動を取っても、ゲーム内で一定時間が経過しないと話が進まない」ように設定されている

たとえば「館の中でリアルタイムに連続殺人が発生する」とか「数日間にわたる祝祭の期間中に複数のイベントを体験したり、陰謀が進行したりする」といったシナリオで見られるケースです。
タイムテーブルがPLには分からない場合はペース配分もしにくいので、PLがショートカットを狙って起こしたアクションが無駄となり、結果的にセッションを長引かせてしまうケースも頻発します。
また、前述の「GMが軽く流そうとした場面でPCが盛り上がる、予想外に細かい行動を取る」ケースに発展することもあります。
場合によっては、具体的なシーン数や時間配分等をぶっちゃけてしまった方が早いかもしれません。
時間を空間に置き換えればダンジョンシナリオでも似たようなことは言えますが、ダンジョンの場合は「時間がなければマップを改変して部屋数を減らす」という荒業もあるので比較的対処しやすいですね。

*1:もちろん、程度の問題。あれもこれもと欲張らず、そのセッションで何をやりたいのか的を絞ることは必要です。また、セッションを時間内に終わらせるための実効策については次のエントリに切り離して書きます

*2:具体的な所要時間は卓により前後するので、今ここで挙げた数字はあくまでも一例