奇跡と加護とアリアンロッド

ばらもすと『アルシャードffリプレイ オーディンの槍』の話をしていたら、やっぱり加護合戦の辺りに引っ掛かりを覚えたそうな。(※コメント欄で本人が指摘してくれましたが、「打ち消し前提だとブレイクスルーソースは無意味になる」という話の方がメインだったそうです。ゴメン)


さて今回は、個人的なプレイ体験とリプレイを基に、ブレカナの「奇跡」やアルシャードの「加護」とアリアンロッドの同系ギミック(「1シナリオにつき1回使用可能」な強スキル)について比較検討してみたいと思います。ALSに関してはルルブの現物を見たことがないので、間違ってたらゴメンなさい。
なお、この手のギミックの元祖であるトーキョーN◎VAの「神業」は考察から除外。神業には社会戦向きのものもあるので、今回取り上げるファンタジー系のとは一様に比べられない、という理由です。


奇跡や加護によるダメージブースト&反射・打ち消し

  1. PCの強さに関わらず、効果を求めるダイス数が固定。(《トール》で+10d6など)
  2. 直撃したら一撃KOに直結するような大ダメージ。(ALSではブレイクで対処可能)
  3. クライマックスでは敵味方双方が奇跡・加護を用いるケースが多く、打ち消し前提の戦闘になりやすい。コピー系の技も豊富

アリアンの”波動砲”系自動取得スキル*1と、その他の「奇跡」級スキル*2

  1. PCのレベルによりダイス数が変動する。
  2. 《プロテクション》や《サモン・アラクネ》等の再利用可能スキルをフル活用すれば、《ガーディアン》や《インタラプト》が無くても耐えきれることが多い。
  3. 必ずしも敵が使うとは限らず、PCの使用したスキルが打ち消されることも頻繁には起こらない。(ただしブレカナ的戦闘バランスの鳥取も存在しうるので注意)
  4. (補足)「一撃即KO」が発生しにくいため、《ソウルバスター》の破壊力も無難なレベルに落ち着くことが多い。危険なのはメイジPCへの《マジックフォージ》反射くらいで、むしろ《レイジ》の方が要警戒か。

そんなわけで、比較その1。
奇跡や加護はダイス数がPCの強さに拠らない「神の御業」であるのに対し、自動取得必殺はダイス数がPCのレベルに応じて決まるので、「自分自身の力」という感覚が強いですね。前者のオーバーパワーと神秘的イメージも捨てがたいので、あとは好みの問題でしょう。


比較その2は、その3と不可分。「一撃即KO」クラスの大ダメージが飛び交う戦闘では、抑止手段も当たり前に使われます。そのため、奇跡や加護といった超常的な力は「通常必殺技に成り下がる」どころか「打ち消されるのが当然」というレベルまで陳腐化してしまうのではないかと。
実際には「決め手」を通すために相殺合戦やブラフが盛り上がるので、それなりに楽しめはするんですが……生身のキャラ同士が戦っているというより、カードゲーム(具体的には『マジック:ザ・ギャザリング』の青デッキ)で遊んでいるような印象を持ってしまうんですよねえ。個人的には微妙。
また、「他人の使用したスキルをコピーするスキル」が今のところアリアンロッドに存在しないのも、このゲームが基本的には「打ち消し合戦」を想定していないからだと思われます(「リインフォース」あたりでポロッと追加される可能性も否定できませんが)。
もっとも、アリアンロッドが一方的に優秀なバランスを誇っているというわけでもありません。アリアンは敵味方双方が死ににくいように出来ている……というか、ぶっちゃけ敵に《プロテクション》を持たせるだけで戦闘が果てしなく長期化するし。その御陰で、強スキルの相殺合戦を免れているだけなのかも?




ちなみにアリアンロッドのセッションにおいて、額面上は奇跡・加護クラスそのままの性能を誇る《インタラプト》や《ガーディアン》が意外に持て余されぎみなのは、これらを用いずとも危機に対処できてしまうことが多いためだと思われます。ヤバいスキルを打たれること自体も、ブレカナアルシャードに比べたら多くはないので。
裏を返せば、GMが容赦なく大ダメージスキルや超高レベルのエネミーを繰り出してくる場合、その一因はPCが《インタラプト》や《ガーディアン》を持っているせいなのかもしれません。*3


余談になりますが、《インタラプト》は打ち消し合戦前提のブレカナアルシャードと違う使い方をしても面白いスキルだと思います。「最悪の事態に備える保険、使わないに越したことはない」ものとして扱うよりは、「味方の隙を減らし、攻撃機会を増やして圧勝するため積極的に使う」のも悪くないのでは?というわけです。特に味方のアコライトがダメージソースや《ジョイフル・ジョイフル》を持っていたり、少人数PTで手番1回の重さが増している場合などは、じゅうぶん検討に値するでしょう。
似たような意味では、敵アコの《ヒール》や《プロテクション》を《インタラプト》して一気に叩くという戦術も有効。余裕があれば、こんな風に攻撃的に使っていくのも面白いですよん。

*1:「1シナリオ1回、ダメージ+CLd6」の効果を持つスキルの総称。《ボルテクスアタック》《マジックフォージ》《ブルズアイ》《ディスコード》

*2:《インタラプト》《ガーディアン》《ファイトソング》《ソウルバスター》等。

*3:類例として「PCの過半数がモンクやサモナーを経由すると敵の強さもインフレを起こし、経由してないPCがとばっちりを食う」といったケースも有り。これを『ダライアス外伝の法則』と言いますw