アクティブプレイヤーとパッシヴプレイヤー 〜シーン制と「登場」の発展形〜

電話で「アイーノの悲劇」*1の感想を話し合っていて、タナボタ的に生まれたゲーム用語を紹介してみます。
前置きが長くなるといけないので、先に要点から。


《定義および使用法》

  1. シーンに登場するPCは、シーンプレイヤーの決定と同時に「自分が”アクティブ”か”パッシヴ”か」を選んで宣言する。
  2. 「アクティブプレイヤー」とは、そのシーンに合致した明確な行動目的や干渉意図を持つPC(またはNPC)のことを指す。また、シーンプレイヤーはできるだけアクティブプレイヤーである方が望ましい*2
  3. 「パッシヴプレイヤー」とは、そのシーンに対して自発的には関与する意図を持たずに登場するPC(またはNPC)のことを指す。エキストラ的な傍観者役や、「その場にいて他のPCの話を聞くだけ・成り行きを見守るだけ」といった場合が該当する。(※「話を聞いて相槌を打つ」等の受動的なロールプレイも「パッシヴ」と見なすので、発言の有無とは一致しない)
  4. 「アクティブプレイヤー」が複数存在する場合、それらの目的は一点に集約できるものでなければならない。焦点がブレる場合は、目的ごとに別々のシーンへ切り分けること。
  5. 「アクティブプレイヤー」の目的が全て果たされた(または目的を果たせず断念した)時点で、シーンは終了する。
  6. 「パッシヴプレイヤー」は、必要ならばシーンの途中で「アクティブプレイヤー」に変化することができる。もちろん、シーンに介入するための明確な目的が必要。(シーン外から登場するのと同じ要領)
  7. この区分を用いる場合、「シーン」はアクティブプレイヤー同士(※「アクティブなNPC」も含む)の相互関与で構成されるものを中心に置くようにする。「アクティブプレイヤー」が1人しかいないシーン=PCの一人語りや単独行動は、できるだけ簡潔に終わらせるか幕間で処理するよう心掛ける。
  8. また、物理的な場所や登場人物の構成が全く同じでも、話の流れや語り手の交替などで場面を転換する必要があれば「シーンを切る」ことができる。



《導入目的》

  1. シーンに登場するPCの中から更に「アクティブプレイヤー」を特定することにより、そのシーンの目的を明確化。目的意識の希薄な発言でシーンが冗長化したり、同一シーンに複数の目的が分散して迷走することを避ける。結果として、各シーンを簡潔にテンポ良く切り回してセッション時間を短縮・密度を高めるのが最大の目的である。
  2. また、「パッシヴプレイヤー」を定義することにより、「シーンに登場するだけで積極関与は行わない」という選択肢が生まれるため、シーン構成や演出の幅が広がる。





以下、解説。


シーン制セッションにおいて、PCの状態は「シーンプレイヤーとして登場している/シーンプレイヤー以外の立場で登場している/登場していない」の3つに分けられます。
が、シーンプレイヤーはいいとして、それ以外のPCはシーン内での位置付けが曖昧で困る場合があります。なぜなら「シーンに登場する/しない」という位置的な区別だけでは、そのシーンに対する介入・自発的関与の意図を確認できない場合が意外と多いからです。
「そのシーンでやりたいことがあるPCだけ、シーンに登場する。そうでないPCは登場を控える」というのが、「登場」ルールの基本概念です。しかし「特にすることはないけれど、そのシーンに登場している方が流れとしては自然」という状態もありがち。例えば「PC全員が一つの部屋に集まってNPCの依頼を聞く。実際に交渉をまとめるのはリーダー役のPC一人だけ」「PC2と3が気絶したPC1に駆け寄り、介抱しながら二人だけで話す」など。こうしたケースでは、「登場している/していない」という位置関係よりも「シーンの中でやりたいこと・やるべきことがあるかどうか」でPCを区別した方が合理的というわけ。
これは「本筋に関係ない会話でシーンが間延びしたり目的が曖昧化するのを防ぐ」だけではありません。アクティブ/パッシヴを区別すれば、「シーンに登場しているけど、何かするのかしないのかハッキリしない人」の発言待ちによる遅延も防ぎやすくなります。オンセでは特に有効。




……とりあえず、基本的な説明はこんなところでしょうか。
思いつきを書き出してみた段階なので、ゲーム用語としての定義や条件付けは非常にテキトーですし、もしかしたら既存のTRPGシステムでとっくに採用されているかもしれません*3。それでもまあ、内輪のセッションで使う分には困らないし(笑)、同じような悩みを抱えている鳥取の方には何となく把握してもらえるんじゃないかと思います。
あと、応用としては「アクティブプレイヤーだがシーンには登場していない」という状況もありえます。めちゃくちゃアクロバティックなケースになりますが……たとえば、アリアンロッド『#オゼロンの魔術師』第5話のように「各PLが一時的にGMと化し、幻霧の中で自分のPCの回想を演出する」場合など。


もう少し整理できたら、実例付きで再掲する予定。今回はこれにて。

*1:一つ上のエントリを参照。

*2:「必ずアクティブ」から修正。オープニングで依頼を聞いたり事件に巻き込まれるなど、シーンプレイヤーでも受動的な立場に置かれるケースはあるので。

*3:コメント欄への情報提供、お待ちしてます〜。