「天プレイ」はリトマス試験紙?

ダブルクロスリプレイ・オリジン 偽りの仮面』、ようやく読みはじめました。今のところCase.1まで読了。
きくたけリプと比べると、良くも悪くも「より一般的な卓のノリに近い、ゲーム的なリプレイ」という印象。事件の規模やPCたちが世界の中で占める重要度も違うけれど。


特に興味深かったのは、P106〜107で応理(PL:田中天)が情報収集に失敗するシーン。きくたけ版の「カラスの情報屋」とあまりにも対照的なんですよね。
個人的には、「それじゃ全然ダメである。」は言い過ぎだと思うけれど、きくたけ・矢野両GMが下した裁定の違いはどちらも妥当だと感じました*1。セッション中にどの要素を重視するかという判断基準の違いが、そのまま成否を分けたのではないかと。
薔薇の「カラスの情報屋」を認めたきくたけGMは、(どちらかといえば)厳密なルール処理よりもノリと勢い・そしてスピーディーなストーリー展開を重視するタイプでしょう。彼の卓ではPLも好き勝手に口プロレスを演じているように見えて、実際にはスムーズに話を進める方向の提案が続出しています。
一方、矢野GMが応理の悪あがき(笑)を却下したのは、おそらく「既に技能判定で失敗した行動を口プロレスで覆されるのはゲーム的に不公平」「他のPCも情報収集能力を持っているため、フォロー可能」そして「読者(≒一般のPL)が安直に天プレイを真似したらマズい」と判断したからではないでしょうか。
そう考えると、「天プレイ」は二重の意味でリトマス試験紙的だと言えます。演じる本人には「場の流れを読んで適切に動けるか?」という技量が問われ、GMは天プレイを認めるかどうかによって「ノリと話のテンポを重視するか、ゲーム的に厳密な処理を重視するか」という2タイプに判別されます。ここで念押ししたいのは、後者=GMのタイプ分けは「どちらが正しい」と言えるものではないということ。個人的にはきくたけ裁定の方が面白いと感じますが、「天プレイ」的なプレイングが人を選ぶのも否定できません。
ただ……それでも、天プレイやきくたけGM卓みたいにアクロバティックなセッションが「一般的な卓では再現不能、真似しちゃダメなリプレイ時空の話」だとも思わないんですけどね。

*1:むしろ門外漢的には、隼人がクライマックス戦闘で「達成値を上げる為に、その場でロイスを獲得→即タイタスに変換」したのがあっさり通ってしまったことを意外に思いました。ロイスとタイタスは人間関係に絡めてロールプレイや葛藤を引き出すためのルールギミックだと捉えていたので。