「かっこいい前衛職」の落とし穴と、スタンダードキャラの効用。

サンプルキャラ更新。(ノーマル)に「道を拓く拳」を追加しました。
このキャラに限らず、サンプルを作る時は自分なりのゲームバランス観を基にしているので、汎用性は保証できません。が……ネタキャラ以外で概ね共通しているのは「決め技(波動砲系自動取得スキル)を持たせて見せ場を作れるようにする」「あらゆる状況に対処することは諦める」「その代わり得意分野は尖らせておき、なるべく自分の土俵で戦えるようにする」という感じでしょうか。


さて今回の本題は、戦闘系サポートクラスに関するちょっとした私見です。
シーフやアコライトに武器攻撃系のサポートクラスを付けて第二・第三の前衛を演じる人は多いんですが、オンセに参加したり見学したりログを読んだりする限りでは、なんとも微妙な感じ。
PLの趣味や選択にケチつけるわけじゃないですが、「結果的に」GMの戦闘バランスと噛み合わず、いまいち活躍できないケースが多い、というか。

  • メインクラスがウォーリアのPCは、多くの場合《バッシュ》を完備するかサムライやガンスリンガーを選んで充分な攻撃力を確保している。
  • アタッカー志向のアコPLやシーフPLは、ウォーリアとの差別化も兼ねて「見た目重視」でモンク・ガンスリンガー・ダンサー等の変化球キャラを選ぶことが多い。
    • しかしウォーリアとレンジャーを除く攻撃系サポートクラスには《バッシュ》系スキルも波動砲も無いため、転職無しでは若干パンチ力不足。
    • また、PLがメインクラスのスキルを完璧に揃えようとしすぎるか、奇をてらってパッシヴ強化を固めずコスト消費型スキルに走ってしまうと、さらに攻撃力格差が広がる。
  • 一方、GMはウォーリアPCの攻撃力を基準に戦闘バランスを構築することが多く、重装甲のエネミーが好んで起用される傾向も見られる。結果、アコやシーフがダメージソースとして機能不全を起こすことも珍しくはない。
    • こうした状況を打開するために、モンクの《ペネトレイトブロウ》やメイジの《ウェポン》系スキルが多用されるらしい。
    • ちなみに《ウェポン》が必須扱いされるのは、(リソース効率よりも)前衛PCの活躍機会に横並び感を与えるためではないか?というのが、やや穿った自分の見解。



大雑把に書き出すと、だいたい以上のような感じでしょうか?
たとえばガンスリは強い強いと言われてますが、ウォーリア以外と組み合わせた場合はそれほどでもないんですよね。むしろ、シーフやアコと組んだ場合は意識的にパッシヴ系を強化してガチガチに固めなければ苦しいほど。
改めて比べてみると、アリアンロッドでは《バッシュ》系スキルと波動砲を完備したウォーリアやレンジャーの強さが際立っています。でもウォーリアPCとキャラが被るのを嫌ったり、ARAならではの個性的なクラスを選ぼうとしたりで、どちらもサポートとしてはイマイチ人気薄のようですね。


で、具体的な対処法。原則的には「本気でアタッカーをやりたければ、メインでウォーリアかメイジを選んだ方がいい。シーフやアコの攻撃力は補助的なものとして考えた方が無難」ですが、今回はそれを踏まえた上であえて「シーフやアコでもダメージ源として活躍するためには?」という方向で考えてみます。(支援役に徹して前に出ないという選択も勿論アリですが、今回は割愛)
PL側としては、変化球系のサポを選ぶのであれば「3レベル以降の下駄履きスタートなら、できればウォーリアかレンジャーを噛ませておく」「1〜2レベルでGMの戦闘バランスが厳しめor不明なら、色気は出さないでパッシヴ強化に専念する」というのが個人的なオススメです。あるいは、サポで無難にウォーリアかレンジャーを選択するか。1PTにメインクラス:ウォーリアが2人いて、そのうち一人がシーフ役を担うという形もアリですね(「紫色の星々」第一期のセレンが、丁度そんなポジションでした)。


逆にGM視点から見ると、”環境への最適化”を勧めるだけでは押しつけになり、キャラクター選択の幅を狭めてしまうことになりかねません。シーフやアコにはそれぞれの本業がある以上、攻撃力でウォーリアに劣るのは仕方ないですし。
武器攻撃キャラが複数いて攻撃力にバラつきがある場合は、激強の単体エネミーを出すよりも数で勝負したほうが面白くなると思います。ウォーリアしか役に立たない、あるいは常に《ウェポン》支援が必要になるような戦闘ばかりでは、PT編成に歪みや制約が増えるのは避けられないでしょう。
自分がGMをした時の失敗談?になりますが、とあるワンオフセッションでメイジが1レベルなのに《マジックブラスト》+《ウェポン》を取得。対処に困り、そのPCに活躍してもらうために固い敵を増量したら、シーフ/ガンスリの攻撃がほとんど通らなくなってしまった……というケースがありました。あちらを立てればこちらが立たずというか、自分も「世間の常識」に流されてしまったというか。冷静に考えれば別に無理して固い敵を出す必要もなかったわけで、シナリオ作成当初のバランスを通した方が良かったのかもしれません。


ちょこっと脱線しますが、個人的には(よくできたシューティングやベルトフロアアクションがそうであるように)「PLが熟練すればスムーズに気持ちよく勝てる」という戦闘バランスもアリだと思います。TRPGの場合、その場その場の緊迫感を重視するあまりに、「PLやPCが最善を尽くしてもなお戦闘不能や死亡者が出て当然、全滅するか否かの瀬戸際で勝負」みたいな戦闘バランスになってしまうことも多くて、どうにも首をひねってしまいます*1GM/PLの双方が納得ずくでやってるなら、それはそれで別に構わないんですけどね。
ついでに言えば、PCの長所や得意戦術をことごとくスポイルしてしまうようなマスタリングは避けた方が良いかと。ことさら相性の良い敵ばかり出せという意味じゃありませんが、「普通に戦っていればPCやPTの持ち味が存分に発揮される」というパターンも必要だと思います。


……ともあれ。
漠然とイメージ任せにクラスやスキルを選ぶだけでは、周囲と噛み合わなかったり後からキャラを作る人に余計な負担を押し付けることになってしまう危険があります。戦闘に限った話じゃありませんが、PLもGMも自分だけではなく「他の人がやりたいこと」に配慮してみると色々面白くなるのでは? ……という話でした。


☆おまけの隠しテキスト。アンテナ使いの人なら気付いてくれるかも?(笑)
かく言う自分も、一度ならずバランスや空気を読み違えて失敗してるし、それを教訓にして役割分担を心掛けたりしてます。


ちなみに某日某所で開催された「レールガン開発秘話」オンセの件について、ちょこっと雑感を。
締め切り間際に飛び入り参加したんですが、「新型銃の実戦テストをテーマにしたシナリオなのに、銃アルケミを選んだPLがいない」ことは少々意外でした。いきなりこんなこと書くとマイナスイメージっぽいですが、念のためロールプレイや掛け合いは魅力的で楽しいセッションだったことを強調しておきます。
キャラメイクの時間がなかったので、自分のキャラは公式サンプル「精霊の具現者」をベースにスキルを差し替え・上乗せした3LVのピュアメイジ。《フライト》を《アースウェポン》に換装、あとは《マジックブラスト》に火力+3スロットで《ファイアボルト》6d6と、メン簿スレ的戦闘バランスに迎合した割には攻撃力もそれなり。性格的には、寡黙で他のPCと距離を置いてるけど殺る時ゃ殺るぜ!というタイプでした。
(※「シナリオとの相性を気にするんなら、おまえが探求の錬金術師(ネヴァーフのメイジ/アルケミスト)やれよ!」というツッコミは覚悟の上。でも、それだけは砲台メイジ主義者として譲れなかったんじゃよー。w)
で、シナリオの軸になった新兵器・レールガンも曲者。たしかに威力と射程は凄まじいんですが、GMがバランスを気にしてか様々な制約が設けられ(2ターンに一度しか撃てない、「素人でも使いこなせることを実証するテスト」という触れ込みだが実際にはフェイトを使わないと当たらない、発射数に制限あり、《トルネードブラスト》モードは効果LVをd10で振るためフェイトが使えず不安定)、ものすごく扱いにくい!というのが本音でした。とはいえ通常戦闘との同時進行を考えれば妥当なバランスではあるし、クライマックスでは皆がシナリオの主旨を汲んで「レールガンの強さを引き立てる」ように事を運んでもいたので、なかなか盛り上がったと思います。……まあ結局、ド素人が撃つよりサムライに渡して自前《トルネードブラスト》をバラ撒いてもらった方が強い、というオチがつくんだけど(笑)。
個人的には、クライマックスで試射役を担当する(=メイジとしての能力を発揮する機会は無い)のが確定していたので、ミドルフェイズの魔族戦で早々と《マジックフォージ》を使いきって自己満足してみたり。この時点で自分がPLとしてやりたかったこと(=「砲台メイジとして暴れる」)は達成できたので、少々出番を貰いすぎてしまったような感じもします。
途中あたりから、もしかしたらGMの人は「祖国奪還」キャンペーンの外伝的なエピソードを意図しているのか?と思い当たったんですが……それは置いといて*2。単独セッションとして見れば、「予告やシナリオテーマを意識してキャラメイクに組み込んだPLはいなかったものの、セッション内では充分に歩み寄りが見られた」という感じですね。ともあれ、遅蒔きながらお疲れ様でした。


長くなって要点がボヤけてしまいましたが、このオンセレポも「GMとPLが互いのやりたいことを汲んで歩み寄れたらいいな」という話の延長線上ということで。

*1:……と言いつつ、自分でもそんなバランスになっちゃうことはありますが。

*2:なお、自分は祖国奪還にも近衛騎士団にも参加してません